30分点検読書 六冊目:三木清『読書と人生』(新潮文庫、1974年)
※30分点検読書とは→モーティマー『本を読む本』に書いてある点検読書その1「組織的な拾い読み、または下読み」を30分でやる練習。
1.どんな種類の本か
エッセイ。哲学入門、読書法について。
2.全体として何を言おうとしているのか
エッセイなので全体として何か言おうとしていることがカッチリ決まっているわけではないはずだが、向学心のある若者に向けていかに本を読むべきか、いかに哲学を学ぶべきか等といった勉学の指針を提示しようとする思いが全体を通して感じ取れた。
3.そのために著者はどのような構成で概念や知識を展開しているか
このエッセイを構成するテーマを三つ挙げるなら、青春・読書・哲学ということになるだろうか。一つ目の青春について言えば、ハイデッガー(ハイデッゲル)や西田幾多郎などの名の知られた哲学者や、ドイツ留学先で共に過ごした羽仁五郎との交流。二つ目の読書について言えば、自身の読書遍歴、読書はどういうふうにするのが良いか、また翻訳や辞書をめぐる問題。三つ目の哲学について言えば、哲学をどう学べばよいかという基本姿勢への問い。
本の感想
西田幾多郎やハイデガーとの思い出のところは興味深そうではあったが、重要ではないなと思って読み飛ばした。僕にとって特に重要なことを語っていて、のちのち精読する必要があるのは「哲学はどう学んでいくか」「哲学はやさしくできないか」「如何に読書すべきか」辺りかな。挙げられている人名としては新カント学派や実証主義哲学者の古めかしい名前も目立つけど、波多野精一『西洋哲学史要』など今でも全然通用するものも少なくない。
30分点検読書の感想
エッセイだから30分点検読書シリーズでは初のジャンルってことになるのかな。全体としての結論を抽出するために読むというよりは、まず全体を見渡した後、気になるところをピックアップして読んでいくのがいいんじゃないかなと思う。それぞれのサブタイトルごとに何を言いたいのか把握しつつ読むのは大事だけど。
この本とは関係ないけど、点検読書のあとのこの記録をつけるのにも時間制限を設けたほうがいい気がしてきた。ついついダラダラ書いてしまう。