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Fate/stay night [Realta Nua]のセイバールートをクリアしたからちょっと語ってみる

【※この記事はFate/stay nightセイバールートのネタバレを含みます。未プレイの方、プレイ中の方はご注意ください】

 

 ひょんなことから最近Fate/stay nightを始めた。やっているのはAndroid版の[Realta Nua]だ。一番最初に出たエロゲー版と違って性的描写はだいぶカットされている。ただしグロテスクなシーンは割とある。

 

 結果から言うと、ドハマりしてしまった。こんなにノベルゲームに夢中になれたのはいつ以来だろう。ノベルゲームは中学生の時からやってきたけど、文字通り寝食を忘れるくらいのめり込んでしまっている。今回は僕が何故そうなるに至ったかという経緯と、僕がこのセイバールートの魅力だと感じた二つの側面について思いつくままに語ってみようと思う。

 

 冒頭でひょんなことからFate/stay nightを始めたと書いたが、具体的に言うとそれは間桐桜ちゃんのイラストがTwitterで流れてきて、うわっ可愛いなこの子!と思ったことだった。僕は二次元の女の子に時たまこういう感覚を抱くことがある。いわゆる一目惚れというやつだろうか。まあよく分からんが。三次元の女性に一目惚れをする人間の話はあちこちで聞くけど、二次元の女の子に一目惚れする人間は珍しいかもしれない。でもとにかく僕にはそういうことがたまにある。『さよならを教えて』をプレイしていて、上野こよりが最初に出てきた時もそうだった。田中美智さんのぽわぽわした声も相まって、こよりには完全にノックアウトされてしまったのだった。2年前の話だ。今回の間桐桜ちゃんへの感情もそれに近いものだと思う。

 

 Fateシリーズのファン歴8年くらいの友人がいたので、間桐桜ちゃんめっちゃ可愛いんだがどこから始めればいいのと聞いてみた。stay/nightから始めればいいよとのことだった。それなら18禁描写もちゃんと入ってるエロゲー版の方がいいよな、と言ったら、でもエロゲー版は声がついていないという欠点があるらしい。声を取るかエロを取るかの選択である。エロゲー版は昨年復刻されているが1万円以上するということもあり、金欠ニートの僕はとりあえずセイバールートが無料でできるAndroid版の[Realta Nua]を選ぶことにした。

 

 受験生なので(ちなみに大学の学部受験生ではない)、香川県民ではないが1日1時間をちゃんと守ることを決めてプレイを開始した。プロローグが終わって桜ちゃんが起こしに来てくれるところから始まるので歓喜したが、進めるにつれどうやらセイバールートでは桜ちゃんは冒頭の数日で退場してしまうらしいと分かりションボリする。友人が「桜ルートまで長いから耐えるしかないな」と言っていたのを思い出し、まあ頑張って耐えるかとあまり気乗りしないまま進めた。魔術や聖杯戦争についての説明台詞がかなり多いセイバールートは世界観の説明の機能も兼ねてるんだろうな、とか、セイバーは見た目は可愛いけど不愛想だな、とか思いつつ、「2月5日 BLADE」あたりまでは有名なだけあってそこそこ面白いな、くらいの印象だった。

 

 のめり込み始めたのはセイバーと士郎が道場で剣術の特訓を始めた辺りだろうか。ここらへんからサーヴァントとしてマスターの剣に徹しようとしていたセイバーの内面が少しずつ見え隠れするようになっていく。そしてライダー戦のあと、冒頭で誰もがこんなの勝てるわけねえだろとトラウマを植え付けられたバーサーカー戦がやってくる。セイバーが宝具を使って魔力を消耗し、消滅寸前の状態でこれなのだからもうめちゃくちゃハラハラさせられる。勝ち目があるとはとても思えなかった。もうこれどうするんだ、と目が離せなくなっていった。それをろくに魔術なんか使えないヘッポコだった士郎の投影魔術によって突破する展開が熱すぎた。ここらへんで1日1時間という制限は僕のなかでもうどっかに行ってしまった。これはそんなケチケチした姿勢で読むのがふさわしい作品なんかじゃないと完全に悟っていた。

 

 ただ、バーサーカー戦があまりにも熱い展開だったし、その後残っているサーヴァントはアサシン、キャスター、ランサーというあまりパッとしない面々だったため、この後は尻切れトンボで終わるんじゃないかなと危惧していた。しかし実際はまっっったくそんなことなかった。前回の聖杯戦争の残存サーヴァントであるギルガメッシュというあまりにも規格外の強敵が現われ、聖杯が願いを叶える力を持った聖なる存在などではなくあまりにも禍々しい呪いに過ぎないことが明らかになり…… バーサーカー戦でこれがピークだろうと踏んでいた最大風速がいとも容易く突破されていくような感覚に打ち震えた。

 

 過去の神話上の人物や英雄が繰り広げる夢の文明間クロスオーバーバトルという世界観の圧倒的な壮大さと、それを士郎&セイバー、凛&アーチャーが次第に戦友としての関係を深め、時に成長しながら勝ち抜いていく少年漫画的な熱さ。僕がまずこの一側面がFate/stay nightセイバールートの魅力だと主張したい。

 

 しかし、それでいて士郎とアルトリアが愛し合うようになっていくギャルゲー(エロゲー)としても十分成立しているということ、これこそFate/stay nightセイバールートの魅力のもう一側面だと思う。もちろんこれはなんか知らないが士郎の周りに桜ちゃん、藤ねえをはじめセイバー、凛、イリヤスフィールといった萌え属性てんこ盛りの美少女キャラが集まってきてみんな士郎のことが好きで異性として多少意識してもいる、という表面的形式的な展開によっても担保されているものでもあるのだが、そんなのは大した問題ではない。士郎とセイバーが愛し合うようになっていく過程は、お互いに自己犠牲と己の信念に殉じようとするが故にすれ違い、また自分に欠落していたものを意識できなかった二人がサーヴァントとそのマスターという型にはめ込まれた契約関係を超え、お互いに一人の人間として相手に向き合うようになっていくさまを描いたものであったと思う。その過程で多くのものを得たのは士郎よりもセイバーだったろう。国を滅ぼしてしまった自分の過去を闇に葬るべきものとしか考えなかった彼女が、それを引き受けることこそ、自分にとっても生前の自分と関わりのあった人々に対しても誠実であると受け止められるようになったのだから(一方で士郎の成長っていうと「セイバーは女の子だから戦っちゃいけないんだ!」みたいなアホくさいジェンダー規範を振りかざすのをやめて、セイバーを異性であると同時に人間としても尊重することを学べたって点くらいだろうか)。

 

 そして何よりも、この相異なる両側面はしっかり結びつき、不可分のものとして進行している、そこが本当に素晴らしいと思う。

 

 Fate/stay nightのセイバールートがあまりにも面白くて、10日間で一気にプレイしてしまった思ったことを書き殴ってみたが、とりあえずこんなところかな。大学生の頃に周りにFGOやってる奴はたくさんいたし、Fate/zeroのアニメ版は高校生のときに2話くらい見たし、凛ちゃんのエロ同人でナニしたことは過去にあった。でもFateってコンテンツとはその程度の関わりしかなく、自分の周縁にあって誰か他の人が熱心になっているものというだけの存在だった。それにこれほどのめり込んでしまう日が来るとは思わなかった。一日中Fate/stay nightのことしか考えられない日が続いているし、文字通りここ数日は受験勉強ほっぽりだして一日中やっている。まだ桜ちゃんがどういうふうに聖杯戦争に関わって来るのかさっぱり予想できないけど、延期になったHeaven's feel最終章の公開前にゲームをクリアして、劇場で桜ちゃんに会いたいなあ。

 

 セイバールートの次は凛ルートなわけだけど、一体どうなるんだろう。セイバールートの凛ちゃんは主に説明係で、バーサーカー戦や士郎VS綺礼戦では必要不可欠な存在だったけどまあ言ってしまえばサポート役だった。凛ルートではいよいよ聖杯戦争で本格的に戦う凛ちゃんの姿が拝めるんだろうか。そしてそして、流石に凛ルートでも桜ちゃんが今回のように冒頭で退場してエピローグに出てくるくらいで終わり、そのままいきなり桜ルートに移るとは思えないし、桜ちゃんの重大な秘密が凛ルートで多少は明らかにされたり伏線が張られたりするんだろうか。うわーめちゃくちゃ楽しみ。ではそろそろスマホの充電が終わるのでまたFate/stay nightの世界にダイブします。